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愛一番まるかんひかり玉名店

     

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熊本県玉名市天水町小天7540-1

 

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営業 13時~18時

定休日 水曜日+第2木曜日

天国に行った柴犬文太 ~ありがとう文太~

 

【文太は天国に行っちゃった】

 

 

柴犬文太。



2005年12月5日、交通事故で死にました。


みんなの悲しみも少しは薄らいだみたいです。


我が家に来てから10年。

家族同様に育ってきました。

死んだ時は家族みんな泣きました。


「文太よ。天国に行ったか。ありがとう。」

 

 

池田家の家族同然に育った柴犬文太 ありがとう文太

 

【文太は天国に行っちゃった2 ≪飼いたい≫ 】

 

 

文太が来たのは、10年前。

B型次女が小学3年生でした。

次女は喘息持ちでした。

今でこそ元気で頑丈になりましたが、

10年前は夜に喘息が起きるとどうなるのかひやひやで、

不安な日々が続きました。

 



そんな日が続く中、いきなり次女が





「犬を飼いたい。」





と言い出したのです。






イケシケと妻のもっちゃんは話し合いました。

「喘息には動物の毛は良くないみたいよ。」

「喘息がもっとひどくなるんじゃないか。」

 


んん~。

 

悩みました。






次女に

「動物は止めたがいいよ。」

と何度も言いましたが、

次女は





「飼いたい。」






「飼いたい。」









「飼いたい。」












それほどまでに欲しいのかと思いもう一度話し合いです。


「もしかしたら、犬を飼ったら精神的に安定して喘息も出ないんじゃないか。」

「喘息がひどくなったら、その時考えようか。」



結局、世話は次女がするということで飼うことになりました。

 

 

池田家で家族同然に育った柴犬文太 飼いたい

 

【文太は天国に行っちゃった3 ≪生まれてすぐです≫ 】

 

 

次の日、B型ヤローと妻のもっちゃんは出発しました。

話し合いの中に、

「雑種じゃなくて、本当の血統書のついた犬を飼おう。」

「雑菌がいない。清潔な犬を探そう。」

と言うことで、タウンページめくって、

「ここはどうだ。」


「こっちが近いよ。」

とか言いながら、3人でペットショップ見つけました。

 



柴犬に決めていました。

 

部屋に、あげるわけにはいかない。

外で元気に走り回るのがいい。

次女が面倒見るんだから、小さい犬がいい。



 


店の主人が言いました。

「ちょうど生まれて、すぐの柴犬がいますよ。」

それはかわいい本当にかわいい両手の上に乗るくらいの柴犬が4匹でした。

「オスがいいですか、メスがいいですか。」

私はすかさず言いました。

「オスがいいです。」

子供がいっぱい生まれたらたいへんだからね。

「じゃあ、この犬です。」

オスが1匹にメスが3匹でしたので、すぐに決まりました。


 



その犬は60cm四方の籠に入れてくれました。

犬は元気に右に円を描きながら籠の中をクルクル走り回ります。


 

実は、クルクル回る癖は10年たっても直りませんでした。

 

 

池田家で家族同然に育った柴犬文太 生まれてすぐです

 

【文太は天国に行っちゃった4 ≪どうして文太なの?≫ 】

 

 

 

 

 

 

「やったー。かわいい。」





B型次女は、うれしがりました。


それはもう、こんな笑顔は生まれて初めてって感じ。


「良かったね。」


家族みんなで大喜び。




妻のもっちゃんと話しました。


「これでよかったんだよ。」




 



実は、この日から、喘息の起こる回数が激減しました。

次女はその頃スイミングスクールに通っていました。

喘息が起こらないように体を鍛えていました。


その効果があったと思います。

しかし、気持ちの安定が1番の効果だったんじゃないかと思っています。



 




「名前はなんてする。」


みんな各々いろんな名前を言っています。


「お父さんはなんて名前がいいの?」


次女が聞きました。


「文太がいい。」


みんなが反応します。


「え~~。」

「なんで~~。」

「もっとかわいい名前がいい。」






「どうして文太なの?」


と聞くから答えました。


 

 

 



「強そうだろう。」

 

 

 

【文太は天国に行っちゃった ≪おすわり≫ 】

 

 

 

ガシャガシャ





文太はあいも変わらず籠の中をクルクル回ります。

ずいぶん大きくなり、クルクル回るもんだから籠が倒れそうです。


「もう、出した方がいいんじゃない。」

「そうだね。籠が壊れそうだ。」

「首輪買ってこなきゃいけないね。」





次の日、妻のもっちゃんとB型次女は首輪とドッグフードを買ってきました。


籠から出して首輪をつける。

これがなかなかたいへんな作業。

小さくても暴れまわるため、たいへんでした。





次女はドッグフードを持ってきて言いました。

「お座り。」


文太は首輪したまま、クルクル回ります。

「お座り。」


文太はますます元気にクルクル回ります。


「だめだこりゃ。」





次女もあきらめた様子。

 

 

 

【文太は天国に行っちゃった6 ≪お前なんでそこにいるんだ≫ 】

 

 

 

「あれ、文太がいるよ。」


縁側に尻尾振りながら文太が座っています。


「お前なんでそこにいるの。」


妻のもっちゃんは、文太に問いかけています。


文太が答えるはずも無く、尻尾振りながらこっち見ています。


「昨日の夜はちゃんと、ひも結んだんだけどねぇ。」


「よくどこにも行かなかったねぇ。」


もっちゃんはぶつぶついいながら靴を履いています。



「文太、おいで。」


文太は勢いよくもっちゃんを追っていきました。






文太がじっとしているのは餌食っている時だけ。


もっちゃんはドッグフード持ってきました。


文太はもっちゃんの周りを右回りにクルクル回っています。



「元気があっていいね。」


というと、もっちゃんが言いました。

 

 

 

【文太は天国に行っちゃった7 ≪なんごつね(何事ね≫ 】

 

 

 

 

 

 

「たいへん、たいへん。」







ばあちゃんが慌てて走ってきました。






「なんごつね。(何事ね)」












「文太が首吊りしとる。」












「えぇ~~~。」

 

 

 

 



みんなびっくりして駆けていく。
















文太はなんと、ひもに絡まって首を自分で締めている。

いつも喜んだ時、右に円を描きながら走り回る。

そのとき,、ひもに絡まったようだ。





「あんた、ばかだね。」


もっちゃんがいう。















キャンキャン  








あー、やかましい。



ひもをはずそうとすると、余計に締まるため苦しいみたい。


暴れたくても暴れられず、絡まっていない右の前足バタバタさせながら、泣いている。





「しょうがない。はさみか包丁持ってきてくれ。」


「どうするの。」


「ひもを切るしかないね」











ひもを切って絡みを解く。


やっと解けた。


何を思ったのか文太は一目散に駆けていった。


「おいおい。」


「たぶん、おしっこしにいったんだろう。」











しばらくして文太が帰ってきた。


古いひもで繋ごうとすると、また、くるくる右回りに走りだした。



「本当にお前は、ばかだね~。」

 

 

 

【文太は天国に行っちゃった8 ≪何か変だぞ≫ 】

 

 

「文太がおかしいよ。動かないよ。」


妻のもっちゃんがそういってきた。


「どれどれ。」


じっとうずくまっている。


目だけをギョロギョロ動かしながら、こちらを見ている。


「おなかが大きいね。」


「子供ができたのかなぁ。」


「それは無いだろう。文太はオスだろう。」


「病院に連れて行こうか。」









もっちゃンが病院から帰ってきた。


「どうだった。」


「おなかに水が溜まってるんだって。」


「で、どうするの。」


「手術するんだってよ。」


「腹を切るのかい。」


「いや、金の玉を片方取るんだって。」


「へっ。」


「それで、良くなるんだって。」


「ところで何の病気なの。」


「○x△■×▽・・・・・。」


「よくわからんねー。」


「私もよく分からん。」


まあ、いいか。



――――――――――――――――――――――――――――――


手術後、良くなりました。

片金になりましたが、ついでに去勢手術も行いました。

文太は元通り元気になりました。

いつものように右回りで走ります。

 

 

 

【文太は天国に行っちゃった9 ≪何追っかけてるんだ≫ 】

 

 

 

うちの周りはみんな田んぼ。

夕方から散歩に出た。




文太は思いっきり走る。

私も走る。

いきなり止まる。


私も止まる。

何してるんだ。

鼻を草むらにつっ込んで何か嗅いでいる。


よく見ると、それはうんこ。

干からびた、うんこ。


「お前が前に出したやつか?」


当然文太は、答えない。






また、走り出した。


「おいおい。」


そしていきなり止まる。

また、鼻をつっ込んだ。


「今度はなんなんだ?」






今度はいきなり田んぼの草むらの中に飛び込んだ。

急なことで、ひも離しちゃった。

田んぼの草の中ぐるぐる走ってる。


「何追っかけてるだぁ。」

 

 

 

【文太は天国に行っちゃった10 ≪お母さんはどこ行っちゃったんだ≫ 】

 

 

「どこか行くの?」


妻のもっちゃんがGパンはいている。


「走るの。」

「はぁー?」

「最近太ったから。夕方毎日走るの。」


ダイエットするみたいです。


「文太も太りすぎてるし、走らせるの。」


なるほど。


もっちゃんと文太は颯爽と田んぼコースへ出て行きました。









「ダメだわ。」


もっちゃんが、ぶつぶつ言いながら帰ってきた。


「文太は、急に止まったり、走ったり、運動にならん。」


「ははははは。」


私は苦笑い。










「お母さんはどこ行ったんだ?」


夕方、O型次男に聞いた。


「文太を連れて、散歩。」


ははは。

また証拠にも無く行ったか。

この前、運動にならんと言ってたのに。









「遅いなー。どこまで行ったんだ。」

「サー。」









帰ってきた。


「どこ行ってたの?」

「総合グランドの外周走ってた。」

「文太は?」

「水飲んでる。」


 

よく見ると、文太は水を少し舐めては、「ハアハア」

少し舐めては「ハアハア」


「文太、お前大丈夫か。」


文太は、恨めしそうにこちらを見た。

 

 

 

【文太は天国に行っちゃった11 ≪おかしいなぁ~≫ 】

 

 

「文太、元気かー。」


文太の癖が少し変わった。

いつもは家族を見ると、右回りにクルクル回る。

以前、回りすぎて、ひもが絡まって死にそうになったことがあった。


回る癖は変わっていない。

ただ、少なくなった。

ただ、餌を貰う時だけ、回るようになったというのが正解かもしれない。

学習したのかもしれない。



今、違うパターンの癖がついた。

家族が近づくと、「ふせ」をする。

自分で勝手に「ふせ」をする。

そして、届くところまで近づくと、突然、前足で人の足にしがみつく。


 

「文太、何してんだ。」


横で妻のもっちゃんが笑う。


「おまえ、ちんちんが大きくなってないか。」


どうも、交尾をしたいみたいだ。


「おかしいなぁ、去勢したのになぁ。」







ある日、私のゴルフ仲間の M君 がやってきた。


「おお、よか犬ですね。もう、ふせ してますよ。」


「すこし、バカ犬だけどね。」




いきなり、M君 の足に抱きついた。


「あらあら、かわいいですね。」


「・・・・・・。」




文太は離れようとしない。


「M君、言いにくいんだが、君の足とSEXしたいようだ。」



M君は思い切り飛びのいた。

 

 

 

【文太は天国に行っちゃった12 ≪交通事故≫ 】

 

 

「こんばんは。」


近所のお友達家族が来た。


「あらー。いらしゃい。」


「文太に似た犬が道路でうずくまっていたのでつれてきました。」


「えっ。」




お友達の娘さんが文太らしき柴犬を抱っこしていた。


「あっ、これ文太です。」


そっと娘さんより渡してもらった時








ぎゃんぎゃんきゃんきゃん









ものすごい勢いで文太は鳴いた。





「どうしたんだ。」


「車にはねられたんじゃなかなぁ。」


「病院に連れて行ったほうがいいね。」





まだ、B型次女は帰っていない。


もっちゃんの運転手で後部座席に私が文太を抱えて病院に来ました。











この診察台に下ろしてください。


先生はじっと見て


「外傷が無いですね。」


という。




「レントゲンの用意をして。」


と看護婦さんに言っている。


「これはやばいかもしれません。待合室でお待ちください。」


私は耳を疑った。













「中にお入りください。」


先生の呼びかけに私ともっちゃんは診察室に入っていった。


「腰椎がズレています。残念ですが、もたないでしょう。」


やっぱり。


「当たり所が悪いです。手術しても駄目でしょう。」


「そうですか。」




涙が出て・・・。


どんどん涙が出てきます。

 

 

 

【文太は天国に行っちゃった 最終話 ≪ありがとう文太≫ 】

 

 

家の玄関に文太の入った箱を静かに置く。


B型次女がそっと寄ってきて、文太の顔をなでている。


次女の目からは涙がどんどん流れ出る。


わたしたちも・・・・・。









次の日、次女は学校を休んだ。


西里の蓮華の里というペット葬儀屋に、私と次女は文太とともに行きました。






文太はダンボールの棺に入りました。


花や、ドッグフードや首輪などと一緒に。






「家族の人の数だけお線香をあげてください。」


葬儀屋さんの言われるまま、8本の線香に火をつけました。


「ありがとう。文太。」


次女は今にも泣く崩れそうです。






葬儀屋さんは火葬の準備を終えました。


「最後のお別れです。」


なんともいえぬ沈黙。


「それでは、点火のスイッチを押してください。」


私は静かにスイッチを押しました。


ごーという音が聞こえてきました。


私たちは泣きながら、手を合わせます。


「文太。今までありがとう。」








文太は家族の一員でした。


10年前、喘息持ちの次女の願いにより、我が家に来てくれた文太。


文太が来てくれてからの、次女の安定した生活。


文太には感謝しています。






年月が経ち、家族が成長し、個人個人の生活の中で、文太と、接する時間がなくなってきました。


それぞれに理由を作っては、文太の世話をさぼり始めました。


文太がいて、あたりまえになっってしまった。







かわいそうなことをしました。


夕方紐をはずしてやると、喜んで走っていく。


どうせ帰ってくるからと、はずした後はテレビ見たり、焼酎飲んでました。


どうして、昔みたいに遊んでやらなかったのかなぁ。


今思うと、後悔の念がヒシヒシと押し寄せてきます。






ほんとうは、もっともっと長生きしたかったんです。


もう少し私たちが注意してやればよかったんです。







次女と私は、文太に棺の中にメッセージを書いた紙を入れました。


ほんとうはたくさん書いてやりたかった。


でも書けませんでした。


涙が出てきて、どんどん出てきて、


紙が見えないんです。





「文太、ありがとう。さようなら。」